2007
第20回島原水まつりを開催するにあたり
第20回島原水まつり実行委員会
実行委員長 本 多 松 弘
【プロローグ】
今から215年前。
寛政四年(1792年)島原半島の主峰雲仙普賢岳の火山活動による眉山の大崩壊とともに、
島原地区の一帯に地割れが生じ、地下水が湧きだした。

白土湖誕生。

白土湖は、南北十町(約1キロメートル)東西三〜四町(約3〜400メートル)の池となり、
なお水嵩は増すばかり。

藩庁では領内から一万人の人夫を集め、池の水を海に流すために水路を造った。
その水路が現在の音無川である。

白土湖の広さは約一万平方メートル、湧水量は日量四万トン、水温16度。
湧水のまち島原を代表する名所となった。

また藩制時代の武家屋敷跡には、
当時、飲用、防火などのために道路中央に造営された水路が、現在も約400m遺され、
縦横に整然と区画された町並みを流れる水は、清冽であり、
昔ながらの石垣が当時の面影を偲ばせている。


白土湖誕生から約200年が経過。

島原は昭和56年に国土庁から水緑都市モデル地区の指定を受け、
昭和60年には環境庁の「名水百選」に選ばれる。

そして昭和62年(1987年)、島原ライオンズクラブが白土湖に噴水を寄贈したことを契機として
第1回島原水まつり開催。

「島原水まつり」は、水に感謝するまつりとして、地域住民に親しまれる。


平成3年(1991年)
200年ぶりに活動を再開した雲仙普賢岳。

6月3日午後4時頃、大規模な火砕流が発生し、
死者43名という、日本の火山災害史に残る悲劇となる。

当然、水まつりは中止。
が、
翌年の平成4年(1992年)、噴火災害からの復興を誓い、
噴火災害の犠牲となられた方々の鎮魂を開催趣旨に加え、水まつりを再開。
白土湖に浮かべた燈篭に向かい手を合わせた。

それから10年あまり、
音無川の清掃活動や、水と親しむイベント開催など、
水まつりの方向性について試行錯誤する時代がつづく。


平成16年(2003年)
水に感謝するまつり「水まつり」を、イベントに頼らない形でのまつりに進化すべく、
会場を白土湖から武家屋敷水路に移動。

武家屋敷近隣の住民の方々にも趣旨を理解していただき、
実行委員会主導のまつりから、地域住民参加型のまつりへと進化していく。


平成18年(2006年)
島原半島は市町村合併を果たし、半島各地の宝物は、島原半島の宝物であるという認識のもと、
有馬のキリシタンの歴史や国見のサッカー、有家のそうめん、愛野のじゃがいもと同じように、
島原の湧水を、島原半島の宝物とするべく、
島原水まつりを島原半島中の人々に知っていただくため、
まつりの規模を従来の数倍もの規模に拡張

お笑い芸人「アンガールズ」をイベントの中心に起用することで、
来客者数は10,000人を超え、
目的であった、島原半島住民へ「島原水まつり」の存在を十分にアピールすることができた。

また、これまでの「水に感謝」に「水を育む」をコンセプトにプラスして、水まつり植樹を開催。
「水が無限ではないこと」を実感しながら、噴火も落ち着いた普賢岳の麓に、
将来の島原の湧水を育むため植樹を行なった。
そして、今年。
平成19年(2007年)
第20回島原水まつり開催
「水に感謝」「水を育む」のコンセプトに「水との共生」をプラスして、
20回という節目を迎えた「水まつり」は、最終形へと進化する
【最終形とは】
島原の湧水は、そこに流れているだけで、
本当に「名水百選」を名乗る「島原の宝」なのでしょうか。

ある来訪者が言いました。
「島原の湧水を含むまち並みはすばらしいけれども、大河ドラマの舞台になりえない。
なぜなら、そこに住民の生活感が感じられないからだ。
生活感の伴わない歴史的建造物や湧水群は博物館・資料館でしかない。」

私達島原の住民は、
本当に「名水百選」である「島原の湧水」に感謝して、生活しているのでしょうか。

「島原水まつり」を機会として、
「水との共生」が感じられる島原の創造につながらないだろうか。

そんな思いから、
「第20回島原水まつり」は、実行委員会主体の「まつり」ではなく、
島原の住民が自分の意思で「湧水に感謝する」まつりへと進化していきます。

8月1日〜7日までの「水の週間」、島原の湧水溢れる所はどこでも燈篭が飾られ、
島原をそぞろ歩く観光客の方々に、島原市民が本当に「水と共生」している姿を見せられる、
そんな「島原水まつり」にしていきたいと考えています。
【最後に】
島原水まつりがスタートしてから20年。

長崎のランタンフェスティバルが、小さなエリアからスタートし、
その趣旨に賛同した地域住民が、年を追うごとにランタンを飾りだし、
現在では、長崎を代表する一大イベントへと進化したように、
これから先、10年、20年、50年と、
この島原水まつりが、長崎を代表とするような「まつり」に進化することを期待して、
「第20回島原水まつり」を開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております。

水屋敷主人の日記