2012
「運を天に任すなんて-素描 中山素平-」城山三郎
初版発行: 1997年5月30日
 
 
島原の町の目抜き通りにあるその屋敷は広く、敷地内には三、四ヶ所に泉があり、
豊かに湧き出る水は、道にまで溢れて、人々は履き物を脱いで横切った、という。
その水が、一帯の飲料水や生活用水として役立っていたからである。

先の対談の中で、宮崎康平は
「山野の表面をすっ飛んで行く水と、地下を潜って濾過される伏流水とは、
水の性質に非常に差がある」と言い、
「地下水があって畑を潤している」と、その効用を強調しているのも、
この種の水のイメージがあってのことであろう。

銀行の建物は、広い敷地の一画にあったが、
別の一画に、金三郎(素平の父)は当時では珍しい洋館を建て、
これが「水屋敷」の名で、いまも残っている。
【中山素平】
元・日本興業銀行頭取。
戦後の日本経済の立役者。別名、鞍馬天狗ともいわれる。
1997年、水屋敷を訪れて「私も中学前まで、ココに居たんだヨ」とおっしゃってました。
2005年11月19日没 享年99歳
島原新聞(20051123付) 財界の鞍馬天狗 中山氏が死去
「ミスター再編成」元興銀頭取の中山素平氏が死去
「河童が覗いたインド」妹尾河童(平成3年)
「2100年、人口3分の1の日本」
「日本人の時間意識」小原 信


水屋敷主人の日記